新刊 小説『会社ごっこ』泉美木蘭
2008年6月11日発売(太田出版)

単行本「会社ごっこ」詳細と、壮絶なメイキング!
妙にニヤニヤしている編集者が、ここぞとばかりに差し出したのは、「会社ごっこ 装丁案」というタイトルの提案書だった。
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季刊「hon-nin」(太田出版)連載詳細

<<連載誌>>
太田出版『hon-nin』







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6月3日
32歳になりましたが、こんな具合で、懲りずに(?)関東一円 〜茨城ぐらいまで取材やら打ち合わせやらに行ってます。


どうよ、どうなのよ、この、「おんぶ de スーツ」。
アナタも、アナタも、やってみない?
めっちゃ見られますよ? 電車でも街中でもコンビニでも、必ず一日あたり2〜3人に声かけられますよ?
汗だくで登場するので、どこの先方様も、怒るとか迷惑とかの前に、とりあえず「た、大変ですね・・・」ですよ?(もちろん、事前に許可をいただいて同伴しております。そうでない時は、取材地の近くの託児所)

こういう感じで、1日1〜3ヶ所ぐらい、週12本ぐらい。ちょっとあたし、よくがんばってるほうじゃない? ちがう?
息子は明日で1歳11ヶ月。いよいよ来月で2歳。体重も12kgオーバーになってきて、さすがに、重い〜。
でも、しんどくなってくると、そんな自分が俄然おもしろくなってくるのでありまして。「今しかできないことを全力でやってる感」っつうの?

そもそも、「子供おんぶして仕事に行く・・・」というぐらいまでは、出産前から予想してたけど(私のことだから、そのぐらいやると思ってた)、実際はじめてみると、最初は「取材地まで遠い = しんどい」だと思ってたのが、ちがうということがわかってきた。

「おんぶして満員電車30分。暴れたりグズったりする息子をなだめて、取材地にたどり着いたときは、いつも滝汗」

「すいてて指定席があって、歩き回れる電車に乗って、息子と車内探検しながら2時間」

これ、はっきり言って、後者のがラクなのです。
指定席なら弁当とか食べられるので、息子も楽しそうだし。
今日は、3つ仕事があって、荻窪⇒用賀⇒飯田橋⇒神楽坂⇒荻窪という移動だったけど、用賀⇒飯田橋ですでに半分死亡。こないだの水戸のほうがラクだった。
ん〜。これだけやってみると、全国取材も行けるなあと思いはじめてます。このあいだ、「徳島へ飛行機で泊まり取材」というのがあって、さすがに尻混みしたんだけど、たぶん、行けた。断らなきゃよかった。ちくしょ〜。


5月19日
取材で水戸へ行ってきました。
息子は保育園に入っていないので(というか、私みたいな仕事の人間には、8〜17時の保育時間では意味がないので)、いつもは、取材場所の近くに託児所を探して時間預かりを利用しています。
都内の託児所は1時間1000〜1300円とどこも高いですが、杉並区以外はわりと受け入れ枠があるので、いままで困ったことはありません。
(息子にしてみたら、いろいろなところに放り込まれて、そりゃ不安にもなってるだろうけど…まあそこはこの世での修行の一環っつうことで。)

で、今回もそのつもりで、水戸駅近辺の託児所を利用するつもりだったのですが…

That’s 茨城!!
水戸駅って託児所がな〜い!!

ダメもとで、水戸市内の公立保育園に問い合わせてみましたが、

「公立ですから。水戸市内に住民票のある方しか利用できません」

そりゃ、そうですよね、スイマセン…。
民間の保育所に問い合わせてみると、これはこれで

「県外の方でも受け入れています。ただし、事前に、お子さんと一緒に面接に来ていただくのが条件です」

行けるかあ〜〜〜〜〜っ!!
そういうのは、受け入れてるとは言わないのであります。

二日がかりでようやく受け入れOKな託児所を見つけましたが、水戸駅から3駅も先。
まったく知らない土地で、そんな離れた場所に預けるなんて、かなり不安…。
しかも、

「駅から徒歩で? とんでもない、車で15分はかかりますよ。田舎ですから。タクシーでいらしてください」

行けるかあ〜〜〜〜〜っ!!!
原稿料が15万も20万もあるっていうならタクシーにも乗りますけれども。
基本、びんぼ〜なのであります。

もう取材日決まってるし、どうしよう…
都内の託児所?
水戸往復を考えると、最低7時間。託児料は1万円近くになってしまう。
くうううう……。

そ〜と〜、困り果てたころに、神があらわれました。
今回の取材案件のクライアント、Kさんから電話。

「ところで、お子さんどうされるんですか?」
「託児所を探しているんですが、近くになかなか見つからなくて」
「そうでしょうねえ。なんなら、うちの家内が見ててあげようか、なんて言ってますけど」
「ええっ!」

奥様とそんな話までしていただいていたなんて、本当にありがたいんですけれど、そこまでご迷惑をおかけすることはできません…。

「うち子供3人いるんでね。子守りぐらいどうってことないんですよ」
「でもそれは…」
「それか、取材に連れて行く、っていうのもアリですよ」

取材先は、ヤマトタケルノミコトをまつる1500年もの歴史をほこる吉田神社
境内は広くて子供の遊び場にはもってこいだし、アットホームな人たちだから、子供なんか連れて行ってもぜんぜん大丈夫だ、とおっしゃるのです。

「そりゃ、一般の会社だったら絶対NGですけど、神社ですから。それに、吉田神社さんとは、その程度で壊れるような関係じゃないですから、ご心配なく。お子さんと遊んでくれる人もいますよ」

ヤマトタケル様〜〜〜〜っ!!
いやちがう、K様〜〜〜っ!!

それでも一応2日前まであがいて託児所を探しましたが見つからず、結局、子連れでおじゃましました。
取材のあいだは、Kさんが境内で息子と遊んでくださり……さすが3児のお父さん、息子が喜ぶポイントをきっちりおさえていらしたのか、息子は満面の笑み。
1時間後に戻ってこられたときには、Kさん、「サウナですか?」とたずねたくなるような汗でした。
神社の宮司さまも、絵本を持って来てくださるなど、本当にあたたかく迎えていただきました。

独身時代からいままで、ほんとイロ〜んな取材をしてきましたが、こんなにありがたい気持ちでいっぱいになったことははじめてです。
この感謝の気持ちこそ、原稿に書きたいぐらい。

息子ができてから、人のあたたかみに触れる機会がものすごく増えました。
そういう意味で、息子にまたまた感謝です。
正直「子供がいるから仕事の制限が…」みたいに思ったこともあったけど、やっぱり財産でした。


4月16日
最初は、「なにこの人、キモ」って思ってたんですけども。
いつのまにかハマってしまいました。

NHK「おかあさんといっしょ」の、 体操のよしひさおにいさんに!

どうかしてます。
最初は、さかなくん系の甲高い声がイラついて好きじゃなかった。
ひろみちお兄さんや、ゆうぞうお兄さんにくらべて素朴すぎるし。
サンバイザーだし。
ガソリンスタンドみたいな衣装だし。
振り付けむずかしくて覚えらんないし。
歌は中西圭三だし。
その辺は本人のせいではないにしろ、かなりのくせ毛だし。
クセ毛の男って、必ず性格にもクセがあって面倒だし。


だったのですが!


やっぱり息子が好む番組となれば、朝はNHK教育にチャンネルをあわせるのが日課になる。
うれしそうに踊ってる息子の姿を見るのは幸せだし、そうなると、息子以上に体操のおにいさんの登場を楽しみにするようになる。
で、踊りきって笑顔の息子を見ると、こちらもやたら満足感にひたってしまう。

するとだ、

よしひさおにいさんって、子供に囲まれた姿が自然・・・
よしひさおにいさんって、ハツラツしてる・・・
よしひさおにいさんって、表情が豊か・・・
よしひさおにいさんって、バク宙できるんだ・・・
よしひさおにいさんって、180度開脚できるんだ・・・

よしひさおにいさんって、かに座なんだ・・・
よしひさおにいさんって、二の腕たくましい・・・
よしひさおにいさんって、右腕にホクロがあるんだ・・・
よしひさおにいさんって、よしひさおにいさんって、よしひさおにいさんって…

おかげで、いまや体操がはじまると、息子をどかして食い入るように見てしまうし、
ほかの歌のときでも、よしひさおにいさんばかり凝視してしまうし、
番組のラストで「おかあさんといっしょ」のロゴが出た時、よしひさおにいさんの立ち位置にかぶると、思わず横からのぞきこんでしまうし、
見逃した朝の喪失感はハンパないし、
日曜日は放送がないから脱力感に見舞われるし、
ファンレターの宛て先を調べてたら、「誕生日プレゼントを送ったら手書きのお礼のハガキが届きましたぁ」っつう自慢話が目につくし、

も〜〜〜

ただのキモいおばさんママです…


で、ここまで書いておいて、いったいよしひさおにいさんのどこがいいのか、いくらビデオを見直してもまったくもってわからない。
全然タイプじゃないし。むしろ、身近にいたら生理的に受け付けないタイプだし。
まず、スポーツマンが苦手だし。

でも、これ、子育て中のママが必ず通る道らしい。
まあ、その人によって、体操のおにいさんだったり、歌のおにいさんだったり、子育て番組の若いアナウンサーだったりするわけですけど。

きっと、ある種の中毒なんだ。
子供番組って、同じ映像をくりかえし使う。
子供番組を通して、子供と楽しみを分かち合える気がする。
子供以上に、真剣に見ておかなければ、という母親の心理がはたらく。
それになにより、子供番組って、駆け引きも打算もないから、やたら癒される。

5年前に子育てを終えた友人は言いました。


「あたしん時は、ひろみちお兄さんだった。
ひろみちお兄さんの目つきと体のくねりがイヤラシくて、
毎朝、抱かれてしまいたくなったよ?」


・・・・・・・・・・・・・・。

よしひさお兄さんは、そんなんじゃありません!

11月24日
三日連続でお金を拾うという体験をした。

木曜日に荻窪駅前の西友で100円拾った。

売り場の端にある休憩コーナーの自販機の下。
ちょっと奥に入りこんで陰になっていて、普通なら視界に入らない所だったが、息子を歩かせていたので視線が下にあり、さらに、万が一転んだ時、おでこに当たるようなものがないかどうか気を張って見ていたので、そんな所にある100円玉を発見することになった。

しかし、自販機の目の前にはベンチが並んでおり、高校生カップルが座っている。息子がヨタヨタ歩く様子を見て「かわいい〜」なんて笑っている。

くそ〜っ! 100円、拾いたい!

視界の端に銀色の硬貨をとらえながら、ひとまず通りすぎた。
カップルから2メートル間をあけて、そろりとベンチに座る。
100円玉までは、直線距離でおよそ3.5メートル。
息子は自販機のまわりをトコトコ歩いている。
お釣り口に手を入れたり、裏側をのぞいたり。探求心旺盛だが、私がロックオンしている100円玉には気付かないようだ。


5分待った。
だが、カップルはあいかわらず。 何を話しているのかは聞こえないが、クスクスと笑ったり、じゃれあったり。

早く帰れよお……。

息子をわざと呼び寄せ「あんよ上手ねえ、おお上手上手!」などと大袈裟に話し掛け、空気の読めない騒々しい親子を演じてみるなど、かるい攻撃を仕掛けた。


10分待った。
カップルは、しぶとい。こちらの騒音はまったく意に介さず、二人の世界に入り込んでいる。

……こうなったら、堂々と拾ってしまおうか?

迷っていると、カップルが手にしている缶ジュースが気になった。
目の前の自販機で買ったものだろう。
二人ともおしゃべりに夢中だ、飲み切って席を立つまで当分かかりそうである。 それに……もしかしたら、やつらが落とした100円かも!?
だとしたら、私が拾うのを見たとたん、女の子あたりが「あっ!」なんて気付いて、変な空気になるかもしれないし、やつらのものじゃないにしても「あの人100円拾った!」ってジロジロ見られるだろうし、もしや、わざと落としといて、見つけた私がどうするかを観察するというトラップかもしれないし、まあ、それは考えすぎにしろ、自販機の下にある100円を拾ってポケットに入れる姿なんて、一度カゴに入れた108円のタマゴ豆腐を棚に戻して46円の絹ごし豆腐に取り替える時ぐらい、いやそれ以上にセコくて、しみったれて、みっともない……。

ううう、ひゃくえんほしい……。

5分考えた結果、息子の動きを利用することを思いついた。
小さな息子に付き添って、探険ごっこをするほのぼのした母親を演じるのだ。
息子にぴったり張り付いて自販機に近づき、同じ目の高さにしゃがんで話すと見せ掛けて、100円に手を延ばし、一気に拾ってしまおうという作戦だ。

しゃしゃしゃしゃしゃ……!

「だいちゃあ〜ん、だめよ〜」

ちょうど自販機の取り出し口をバタバタさせていた息子のもとへ駆け寄り、すかさずカップルと100円玉を結ぶ導線上にしゃがみ込んだ。
これで死角ができた! ……ウッ、今日に限ってタイツにパンプス。これじゃ足元スカスカで、肝心の手元が丸見えじゃないの。なんでロングスカートはいてこなかったんだあ!
しょうがないので、とっさの判断で芝居を打った。

「だいちゃん、見て、すごいよお、この下のところ!」

「ばぶ」

「自動販売機さんの足だよ、だいちゃんと同じ、足だよ」

「ばぶう」

「……ん? なんだこれ。あ、だいちゃん、お金だあ。100円だよお」

「ばっぶ!」

「うわあ、拾っちゃったね。すごいねえ、だいちゃん、ラッキーボーイだねえ」

子供をダシに100円を拾う31歳母親。
無事、100円はゲットしたが、その金額に見合わないほど神経を使うことになり、本当につかれた……。
ところが翌日。
私は、も〜っと大変な思いをすることになった。

金曜日。私は新宿高島屋の7階女子トイレにいた。
個室に入り、鍵をかけ、振り返る。
と、そこには小さなガマ口財布が!

恐る恐るなかを見た。

折りたたまれた1000円札が、モリッと8枚、飛び出してきた!!

さあ、あなたならどーする!?

このつづきはまた後日。

10月15日
 13日に大学時代の友人の結婚披露宴がありまして。1歳3ヵ月・重量10kgの息子をおぶって、東京から岡山まで一泊旅行してきました。
 まだ言葉も通じない宇宙人みたいな息子とふたりきり、かなり不安もあったけど、行きは連休中日の12日で新幹線はがら空き。自由席を好きなだけ陣取り、快適・快適。何度かグズってデッキに出たりもしたけど、名古屋あたりから座席につっぷして寝てくれて、あっという間に岡山着。本当にらくちんだった。
 岡山を満喫して、翌日の素敵な披露宴で感動して、大満足。
 で、帰り。
 18時に披露宴が終わったんだけど、これが予測できなかったので切符を買っておらず……駅へかけつけると、連休最終日の夕方っつうことで、東京行きの新幹線は軒並み「×」「×」「×」「×」!!!
 ようやく買えたのは、岡山20時03分発。座席は確保できたけど……発車まで2時間も、息子をおぶって待つなんてできな〜い! しかもこれじゃあ、東京の自宅につくのは深夜12時半をまわってしまう……。
 思い切って、立ち乗りで一番早い列車に乗りこむことにした。
 同じ立ちんぼするなら、東京に向かって進んでくほうがずっといいもん。乗車率120%、デッキも通路も人でいっぱいだったけど、新大阪でたくさん降りるはずだから、うまく行けば座れるだろう、と。

 が! 新神戸を過ぎたあたりから、背中の息子が急に泣き始める……。
 おむつを変える時間がなかったからだ。あまりにたくさんの人が近くにいて、怖かったのもあったと思う。満員の車両のなか、ギャンギャン泣き出す息子。でもトイレへ向かう通路も、トイレの周囲も、人・人・人のすし詰め状態。
 困っていると、新大阪に着くちょっと前に、50代ぐらいの女の人がわざわざ立ち上がって手を振って呼んでくれた。

「座って座って! 私、京都でおりるから!」

 ううっ、ありがたいっ。なんとかたどり着いて座らせていただいたのだけど、息子は膝の上におろしてもいっこうに泣き止まなかった。よけいに暴れまわって、荷物を蹴散らし、隣の人を頭突きし。手のつけられないギャン泣き中のギャン泣き状態になってしまう。 車内は、「披露困憊」といった空気がむんむん立ち込めており、特に、通路に立っている人たちからは、いっせいに冷たい視線が……。
 立ち上がったり座りなおしたり、なだめたり、服を脱がせたり、あおいだり、お茶を飲ませたり、パンを食べさせたり、隣の人に謝って思い切っておむつをかえたり。いろいろしたんだけど、ぜんぜんダメ。
 そのまま30分、40分と経過……。
 恥を偲んで、最後の砦、おっぱいを出して飲ませようとまでしたんだけど、それも受け付けてくれず。すぐ隣で立ち乗りしていた女性が、スカーフを広げて私の胸元を隠してくれたりもして、そんななか、周りの人たちへのあまりの申し訳けなさと、母親としてのふがいなさ、情けなさがふき出してきて、涙がポロポロ出てきた。泣いてもなんの解決にもならないのに、精神的に追い込まれて我慢できなくなってしまった。
 すると、周りの人たちが口々に話しはじめた。

「子供は泣いて育つもんだからなあ」
「そうだそうだ、うちの子だったらとっくに疲れて寝てるよ。この子は体力があるよねえ。大したもんだよ」
「泣き止まそうとしたら、よけいに泣くだけだから、泣かしときなさいよ」
「なんだかんだ言って、このぐらいが一番かわいいんだよね。うちなんかもう中学生だから、口もきいちゃくれないよ。ははは」
「がんばれ、おかあさん!」

 泣きわめく息子を囲んで、急に車内が明るくなった。 それで、今度は、ちがった感情がこみ上げて、よけいに涙がぼろぼろ出てしまい、もうどうしていいかわからなくて、とにかく頭を下げることしかできなくなった。
 そこで息子も泣き止んでくれれば話はまとまるんだけど、結局、名古屋を過ぎて、三河安城を通過するぐらいまで泣きっぱなし!  新神戸からだから、約1時間半ぐらいだ。 周りの人も、励ました手前、迷惑な表情ができないけどそろそろマジメに限界だよ? 的な空気になっていた。
 と、どういわけだか、息子が急に泣きやんだ。きっかけもなし。私びっくり。みんなもびっくり。 やはり宇宙人……。
 息子は、今度は、打って変わってものすごい笑顔をふりまきはじめた。ご機嫌にお茶を飲み、窓の外を指差して、「あ〜♪」「ぶうぶうば〜!」。 まあ、うるさいっちゃうるさいけど、見ていてホッとする表情でもあるし、泣き声よりはずっとかましだ。
 すると、そんな息子が自分でパンをちぎって、その小さい手で、迷惑をかけまくった周りの人にどんどんおすそわけしはじめるではないかい!  不器用な手先でひとつづつちぎっては立ち上がり、笑顔で、 「あい♪」 「あい♪」 「あい♪」 。
 みなさん困ったと思うけど、笑顔で「どうもありがとう」と受け取ってくれて、しかも食べて「おいちいね!」と答えてくれた人もいた。息子はとっても満足気で、受け取ってもらえるたびに、私のほうを振り向いて、嬉しそうに笑っていた。
 最後のふた切れになったところで、一切れを私の口に入れてくれた。残りの一切れを自分で食べて、「うふふ」と笑顔で見上げてくれた。かわいすぎるじょおおお!

 東京駅について、みなさんにとにかくお礼を言って頭を下げ、息子をおぶってホームに下りた。
 ひんやりした空気を吸いながら、世間の人って、私が思っているよりもずっと心が広くて親切だったんだな、と気がついた。てっきり「世間は冷たいもの」と思い込んでいた自分の見聞の狭さがちょっと恥ずかしくなるほど、みんなやさしい。息子が終始おりこうさんに笑顔で乗っていられる子だったら、わからないことだったと思う。「かわいいわねえ」なんて言われて得意になって、ひとりよがりに息子を見せびらかすバカ親になってるとこだ。
 手のかかる子でよかった。ありがたいな、ほんとにありがたいなって、心から思った。いっっっっぱい大迷惑をかけたけど、忘れられない旅になりました。

◇◇◇◇◇
そんなイイ話しておいて、なんですが、くらたまさんのだめんず・うぉーかー  14巻 (SPA COMICS)が絶賛発売中です。泉美もまたまた登場しております。今回は、マンガとマンガのあいまのコラムにも出てますのでどうぞご一読を!

9月5日
日興コーディアル証券の投信スーパーセンター内にある『資産運用を考える人のマネーバラエティWebマガジン』 RICCO[リッコ] で、泉美が“起業を目指す人”に向けての熱〜いメッセージを語っております。なんでわたし!?
インタビュー受けてるときは、そりゃ滅多にないことだから楽しかったけど、こうして出来上がったものを読むと、ワー、なに“それらしき”こと語っちゃってんねーん! もろくそ恥ずかしー! 後半、爆睡してる息子の後ろ姿も、なんか笑える。ええ、意外と長丁場だったの。どうぞご一読ください。

最近は、突然ですが「文通」にはまりまくり中。なんだかこのごろ、インターネットというか、「メール」というやつのインスタントな感じに辟易してきたんですの。で、無性に手間と時間をかけて、手書きで綴るという時間が恋しくなってきて。カップ麺ばかり食べてると、脳みそ壊れてきて、かあちゃんのぶり大根が恋しくなるのと似てる……のか? いや、ちょっとちがう。
んで、現在6名のペンパルさんがいるのですが、これが、小学生の頃に楽しんでいた文通と違って、お相手も大人ばかりなので、ペンひとつ、便箋一枚とっても凝ってる人が多い多い。
映画や展示会のチラシを使ってオリジナルの封筒を作っている人、雑誌の切り抜きを使って、便箋をド〜ッとデコレーションしている人、偶然の産物とは思うけどお香の香りが封入されている人。受け取るだけでなんだか嬉しくなってきて、こちらも、ちょっとでも素敵な手紙を作ろうと、一生懸命になってます。
そう、手紙って、書くものであると同時に、「作る」工夫もできるものだったんだな〜。
よし、将来は、手書きの小説を自分で手作り装丁して一冊8000円ぐらいで売ります!うそです。そんなことで注目されるのは、ハリーポッターぐらいです。
またつまらないことを書いてしまった。母親なんだから、もうちょっとまともなことを書けるようになっておきたい…。


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